ちくわの穴は空洞です。

文章力をなまらせないためのブログ

ロシアW杯GroupD アルゼンチンvsアイスランド 戦評

お互いのサッカーのスタイルが水と油な両チーム。
「地力の差はある」と前評判では伝えられていましたが、FIFAランク10位と22位とそれほど離れているわけではない。
あまり出逢ったことがないチームだからこそ、普段持っている引き出しから何を選べるかというのが大事だったんじゃないのかな~と思ったり。
 
・プランAにこだわるのがいいのか、潔く捨てるべきなのか
・観客というか、場の空気をどう味方につけるか
 
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  • システム
 
アルゼンチン 一応、4231っぽい感じのスタートだったけど、
攻撃時は両サイドが外に張ってバイタルはメッシ用に空けてある感じ。
アイスランド すがすがしいほどの442。
 
  • 時間帯別メモ
 
1分 アルゼンチン ビルドアップは両CBが大きく開くところから
2分 アイスランド 442でしっかり守ってる
3分 アルゼンチン バイタルにあまり人を入れない
5分 アイスランド マイボールになったらシンプルに蹴ってくる
6分 アイスランド ビャルナルソンはめっちゃ北欧メタル聴いてそう
7分 アイスランド メッシは17番がよく見ている
9分 アイスランド ビルドアップのスキを衝いて左CBを強襲、パスミスをうばって決定機もビャルナルソンは枠外。
13分 アルゼンチン メッシが中盤まで落ちてきてフリーで受けてハーフスペースへ。
14分 アイスランド 44ブロックに入ってくるまではメッシにはフリーで持たせるスタンス ただメッシもブロックの間にポジションどってボールを受けようとする
16分 アイスランド メサ⇒メッシへのパスコースを奪いどころにしている感
19分 アルゼンチン ロホ?からのシュート性のパスをしっかり懐に入れたアグエロが素晴らしいターンからのゴール!あえて寄せてこれない距離までボールを逃がしてからコース作って蹴るまさにストライカーって感じのゴール。
24分 アイスランド 大エースシグルドソンが右サイドに出てクロス。左右に振り回されて真ん中のマークが混乱しているなか再びシグルドソンのクロスをはじいたこぼれ球に反応したフィンボガソンのゴール!すぐに追いついたアイスランドのメンタリティは流石。
28分 アイスランド ロングボールのこぼれをマイボールにできるのが大きい。
30分 アルゼンチン メッシは最終ラインに近い位置まで下りてくる。
31分 アイスランド グンナルソンが審判に足踏まれる。かわいそう
32分 アイスランド メッシを囲んで奪いに行ってチャンス。
34分 アルゼンチン 最終ラインがかなり余裕を持てるのでサイドの裏に出すがSBがクリア。
37分 アルゼンチン メッシがバイタルを出入りすることでかなりアイスランドのブロックを揺さぶっているイメージ
41分 アイスランド 久しぶりに保持できる形になるがボランチのところですぐ奪われる
41分 アルゼンチン メサの突破でハンドっぽい形になるが故意でないのでファウルならず
42分 アイスランド オタメンディのところで高さで勝てないのが痛い
44分 アルゼンチン メッシのトラップが流れたというかスペースに流そうとした?
45分 アイスランド やっぱ局面で競り勝てるのがでかいな~
 
前半短評
 
当初の予想通りアルゼンチンが保持、アイスランドがカウンターという形が明白なゲームに。
アルゼンチンは最初はGK+2CBでビルドアップを図るもアイスランドのハイプレスを受けてからはマスチェラーノを最終ラインに落として3人をビルドアップの起点にする形にした。結果として最終ラインの一本のパスで先制点を奪うも、そこで落ち込まなかったアイスランドシグルドソンの素晴らしいサイド攻略とクロスからゴール。お互い自分たちのストロングポイントをベースに得点を奪うことができたと言えるのでは。
アルゼンチンはメッシ以外をいかに使うかがカギか。アイスランドは高い位置で奪えるシーンも多いので、このままでも点取れそう。
 
後半
 
1分 アルゼンチンの保持は変わらず。マスチェの位置がやや高くなった?
4分 アイスランド カウンター時のシグルドソンのフリーランめっちゃうまい
7分 アルゼンチン バイタルに入ってくる選手がいない。
8分 アルゼンチン ビリア⇒バネガ。めっちゃ攻撃的!
11分 アルゼンチン メッシの突破からアグエロにボールが届くもシュートは打ち切れず
12分 アルゼンチン ワンタッチだとアイスランドのマークもはがれる
13分 アイスランド カウンターの際のフリーランよく整理されてる感ある
14分 アイスランド メッシに狙いをしぼっているのか、3人がすぐ集まる
15分 アルゼンチン バネガは運ぶドリブルで時間つくろうとするがその次だな~
17分 アルゼンチン メッシからのミドルパスでPK誘発もメッシのPKはハルドソンがセーブ!やばい空気になってきた~
21分 アルゼンチン やや遠い位置からのFK、メッシが直接狙うも枠を外す。メッシ~
24分 アルゼンチン メッシの位置がやや高くなってきた
26分 アルゼンチン セカンドボールを絶好の位置でメッシ拾うもシュートまでいけず。UTのメッシなら決めてるわ
28分 アルゼンチン マスチェラーノが良い位置でセカンドボール拾えるのでずっとアルゼンチンのターン
30分 アルゼンチン ディマリア⇒パボン ディマリア下げるか~~
31分 アイスランド グナルソン⇒スクラソン スクラソン比較的背が低い
33分 アルゼンチン マスチェからのナイスパスもシュートまではいけず
36分 アルゼンチン バイタルで受けたメッシがミドルも枠を外す
39分 アルゼンチン メサ⇒イグアイン
41分 アルゼンチン 4312のような形?
43分 アルゼンチン ずっと保持するもクロス蹴れないので怖い形が作れず
43分 アイスランド フィンボガソン⇒シグルダルソン 相当走ってるので足攣ってる カウンターの走力なくなってる感
45+5分 アルゼンチン メッシのFKは壁に当たって試合終了
 
 
  • 総評
 
凡戦と評されそうだが、お互いのチームスタイルがよく出た一戦だったように思う。
アルゼンチンはとにかく、「メッシにボールを集めてなんとかする」というプランAに最後までこだわり続けていたように見えた。それに対してアイスランドが選択したのは、「メッシから奪ってチャンスを作る」という相手のプランAへのこだわりを逆手に取った戦術だったのでは。21回ものインターセプトを記録していた(アルゼンチンは3回)ということで、狙いがきっちり数字にも表れている。
前半が終わった時点ではアイスランドの逆転も十分ありえると踏んでいたが、後半はマスチェラーノが高い位置でボール回収を繰り返していたため試合は常にアイスランド陣内で展開されることに。結果、奪ってからゴールまでの距離が非常に長く、頼りのロングパスも収まらない(意外にも、身長ミスマッチの割に、空中戦勝率・デュエル勝率はアルゼンチンのほうが上。準備の質ってやつか)。結果アイスランドは敵陣まで走れなくなってしまい、最終的には前半シュート7本に対して後半は1本と、ほぼアルゼンチンにペースを握られ続ける試合になってしまっていた。ただ、最後までしっかり守備を固め、ゴールを割らせなかったアイスランドの高い集中力には感動。
アルゼンチンはPK失敗を初め、メッシが最後まで乗れなかったように見えるが、これは普段の対戦相手とアイスランドのサイズが全く違ったことも影響したんじゃないかなと思っている。体がでかいということは、それだけシュートコースも狭まるので、普段なら超えられていた壁や通っていたシュートコースにことごとく邪魔な10cmが入りこみ、フラストレーションが溜まっていたのではないかと。
PKが入っていればなんのことはない試合だったのかもしれないが、アルゼンチンはメッシがうまくいかなかった時の次善の策が練られていないように感じた。あくまで、結果論ですが。イグアインを入れる時間ももっと早くてよかったと思うし、ボールを集めるわけでも、アーリーでクロス打つわけでもなかった。
昨日のポルトガルとあえて比較するなら、「使おうとしたメッシ」と「使われようとしたロナウド」の差のように見える。メッシ⇒誰か⇒メッシ にするより、誰か⇒ロナウド にしたほうがシンプルで力発揮されそうだよね。その辺どうなんだろ。できなくはなさそうだけど。
 
おしまい。
サッカー面白いです。

ロシアW杯GroupB スペインvsポルトガル 戦評

怒涛の1日2本。
しかし、ベストバウトに挙げる人もいるんじゃないかってぐらい良いゴールが多かった。
 
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スタッツ。
 
 
  • システム
 
スペインは433
 ⇒とはいえ、流動的。守備時は451でセットする形が多かった
 
  • 時間帯別メモ
 
前半
2分 ポルトガル 左サイドで数的優位保ってビルドアップ 前線5レーンに全員配置する攻め気全開の入り
3分 ブルーノフェルナンデスがバイタルでうまく受けてシュートに持ち込もうとするもブロッキング
3分 ポルトガル ペペからのロングボールがゲデスに収まり、ロナウドに落とす 突破を図るロナウドをナチョがたまらず倒してしまいPK獲得
4分 ポルトガル ロナウドが奪ったPKを決めて先制!
5分 スペイン CBから逆サイドのナチョに蹴ろうとするシーンが多い サイドチェンジのタイミングがやや早い
12分 スペイン 個々人のボール持つ時間が長くなってきた ポルトガルは持たせる方針
13分 ポルトガル 奪ってからでも数的不利だと前に出さない
17分 ポルトガル ロナウドのワンタッチからカウンターでゲデスにチャンス
18分 ポルトガル FK ロナウドのシュートは壁に阻まれる
20分 スペイン ポルトガルの早いプレスはかなりいなせつつあるがどうもボールが足につききらないイメージ 芝に慣れ切っていないか
21分 スペイン 左サイドをワンタッチで一気に崩す かなり慣れてきた
22分 ポルトガル スペインCKからのカウンターで大決定機 ワンタッチで蹴れなかったけどスペインのDFの寄せが早かった
24分 スペイン ディエゴコスタがハイボール競り合いからボールを収めてフェイントからパスコース作り蹴り込む!同点!ほぼ何もないとこから決めた
26分 スペイン 左サイドで執拗にボール回しを続ける 同点に追いついたこともありプレッシャーが薄れたのかさっきまでおぼつかなかった足元はなんだったのかというレベルで適応
30分 ポルトガル 狙いはサイドチェンジで密集したスペインのプレスをかわしつつ縦のパス交換でカウンター スペインの守備はゾーンというより人に寄せる感じなので縦の交換で抜けれる
32分 スペイン 落ち着いてビルドアップできるようになってきた
39分 ポルトガル この時間でようやく落ち着いてビルドアップ カルバーリョが良い位置をとって方サイド上げるよく見る感じのやつ
41分 スペイン なめらかにビルドアップ 433でIHが落ちてきて受けに来る
42分 スペイン 大外からハーフスペースのイスコが切り返しでシュート
44分 ポルトガル CKのカウンターからポルトガルが敵陣でビルド1度は跳ね返されるも カルバーリョがでかさで抑えてはじく 右SBのセドリック?がしっかりキープしてゲデスに縦ポン CBの間でゲデスが受けてロナウドへ 強烈シュートをデヘアが抑えきれずロナウド今日2点目!
 
前半短評
 
監督交代の混乱もあったのかややおとなしい入りだったスペインに対しポルトガルは初手からフルスロットル。カウンター時には全レーンにターゲットを並べて圧をかけた結果、ロナウドへのマークが浮き突破を許した結果PKを獲得。ポルトガルは相手のゆるい入りも折込済の速攻だったのではないか。ただ、リードを奪った後に2度ほどあった決定機をモノにできないうちにディエゴコスタが個人技で追いつく。スペインの守備はファーストプレスの後は奪いに行くのかリトリートなのかやや統率が取り切れていないように見え、奪いに行くナチョの裏のスペースを遣われるなどピンチを招くシーンも多かった。一方ポルトガルの守備は44ブロックをしっかり引く感じのベーシックな布陣だったがこのへんの攻略はスペインも慣れているのか、時間が経つにつれ右SBのセドリックを中心に攻略されまくっていた。
 
後半
 
1分 スペイン プレスの開始位置は非常に高い
4分 スペインが保持 ポルトガルが奪ってカウンターという構図は変わらず(当たり前か)
5分 ゲデスのポジショニングが良い
6分 ダビドシルバはしっかりキャンセルする。真似たい
7分 ポルトガルはボールサイドに密集して回されているときはあまりプレスにいかず、サイドチェンジ後に狩りにきてる
8分 スペイン 数的不利でもはがそうとするのでボール奪われがち
10分 スペイン セットプレーからブスケツが競り勝ち、ディエゴコスタが蹴り込む!同点!またしても無風のところからの得点。セットプレーは重要だと改めて思わされる。攻撃面で貢献していただけに、マークつききれなかったゲデスは残念
13分 スペイン 右サイドを崩してイスコのシュートはブロックに遭うも、こぼれ球に反応したナチョのゴラッソ!ここしかない、というコースとスピード。たったの3分で逆転とは。
19分 スペイン イスコ・イニエスタ・シルバの絡みで一気に左サイドを崩していく これ対するセドリックきっついやろな~~~
24分 ポルトガル ブルーノ・フェルナンデス⇒ジョアン・マリオ、ベルナルド・シルバ⇒ケアレスマ
25分 スペイン イニエスタ⇒アルカンタラ
28分 スペイン ダイレクトパスで嘲笑うようにポルトガルのプレスはがしてサイドに通す。えぐい
29分 ポルトガル システム変えると言ってたけどあんまり変わってない?ポジション変更?
32分 スペイン ジエゴコスタ⇒イアゴアスパス
33分 ポルトガル ロナウド何もないところからチャンス作りかける
35分 ポルトガル ゲデス⇒アンドレシウバ
36分 スペイン 守りのポゼッションがえぐい ホイホイ回せる とにかくパスコースに対する選手の認知の速さ 
41分 スペイン シルバ⇒バスケス ええ、そこ変えるの……
44分 ポルトガル 縦一本でとったFKをロナウドが直接決める!スーパー!!!!!!ここしかないコースにこのプレッシャーかかるシーンで決めてくる これが勝者のメンタリティってやつかぁ
45+1分 ポルトガル 勢いに乗って責め立てるもロナウドの足首が痛んだところでややスローダウン。
45+5分 このまま試合終了。
 
  • 総評
 
まさに「ワールドクラスのプレー」が結果を左右した、これを見るために起きてた甲斐あった!と言える試合。そして「流れがゴールを生む」というよりは「ゴールが流れを生む」といった趣の試合だった。スペインの緩い入りを予想したポルトガルが電光石火のゴールを決めたが、その後はじわじわとスペインのペースに。ただ、同点ゴールは再三狙っていた右SBのセドリックではなく、ディエゴコスタが独力で決めてしまうというおよそスペインらしくない形から突破口ができてしまうのだからサッカーはわからない。
スペインはDFラインの連携に課題があるように見える。結果として3失点はすべてDFラインからのロングボールがノープレッシャーで前線に収まったことから生まれている。特に1失点目と2失点目は収まったのがどちらもゲデスだったということで、本来1失点目を喫した時点で行うべきだったマークの確認が徹底できていなかったのではないか。
残っているチームはイランとモロッコでどちらも格下だが、カウンターの鋭さには定評があるチーム。相性は決して良くないように思えるので(シティに対するリバプールのイメージ)安心はできない。
新監督のイエロについてだが、正直今日の采配は微妙で、FIFAのシーズンよろしく前の疲れた選手から1人ずつ交代してませんか??というぐらいの適当具合を感じる。特にシルバ⇒バスケスの交代は、恐ろしいほどはまっていたポゼッションによる守備に逆にほころびを生んでしまったのではないか。
一方ポルトガルロナウドのスーパーな得点が目立つが、ゲデスのカウンター時の鋭さも際立っていた。逆転されてからケアレスマを投入してドリブル突破、セットプレーというプランBも用意してあるので懐の広いチームになっているように見える。一方で両SBの守備力はお世辞にも高いとはいえず、サイドの突破で再三チャンスを作られていたので、ターゲットマンが複数いるチームとの対戦で苦労することになりそう。
 
あかん、くっそねむい……
でも楽しい……

ロシアW杯GroupA エジプトvsウルグアイ 戦評

始まりましたね、ロシアワールドカップ。
 
今回のワールドカップがサッカーに本格的に興味を持ち始めてから初めてのワールドカップなので、ちゃんと見る試合についてはちゃんと試合見てメモ取って分析して知見を高めていこうと思います!
素人の意見なので色々と目が節穴になっている可能性もありますが、よければみなさんも読んでいろいろご意見いただければ。名鑑も買ったし、今回のW杯は味わい尽くしてやるぜ。
 
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  • システム
 
エジプト 4231
 ⇒とは言っていたものの守備時はほぼ4411見たいな感じ
 ⇒とは言っていたものの攻撃時は10番が右に流れて2233みたいな感じ
 
  • 時間帯別メモ
 
前半
3分 ウルグアイのプレス開始位置は自陣入ってから
4分 ウルグアイは10番がわりとボールサイドに寄る 自由に動く
5分 ウルグアイ カウンターで逆サイドに開いている選手がいない
6分 スアレスは自陣でも取れそうだと思ったら追ってるけど他が連動してない
7分 エジプトの撤退守備は44ブロック
8分 エジプトは高い位置ではダイヤモンドの442でプレッシング
   高い位置ではトップ下がウルグアイの3列目にややマンマーク気味?撤退して442みたいな感じ?
10分 奪ったらエジプトは縦に早く出すが質的優位が取れない
11分 スアレスがラインを引っ張る
12分 エジプトのビルドアップはほぼエルネニー経由
14分 ウルグアイ右SBナンデスがハーフスペースに走り込んだのでスアレスが間受けできパス交換でシュート
    ウルグアイのビルドアップの狙いはCBに余裕があるときはカバーニへの縦ポンか持ち上がってSBが切りこむ形のようだ
16分 フリーキックは22番
17分 エジプト19番は明らかなダイブ サラーが出てくるまではセットプレー狙いか
18分 ウルグアイは右SBが上がるビルドアップの狙いがはっきりしている
   エジプトがボラからボール奪ったので数的優位でチャンスになった
18分 基本エジプトは前に人をかけない
21分 エジプト 19番は割とファールもらいたがる
22分 ウルグアイ 左SB(カセレス)は中に入らない リスク管理かも
   ⇒10番がかなりハーフスペースに動くから入る必要ない
23分 ウルグアイ カバーニがエリア外からワントラップでハーフボレー
   ウルグアイの2トップには割と自由が許されてる
24分 ウルグアイ CKからの流れでスアレスに決定機
25分 エジプト ウルグアイの右サイドのビルドアップを奪ってカウンターが続く
26分 エジプト モフセンへの縦ポンからのこぼれ
38分 ゴディンが中央左を持ち上がってアラスカエタへ通すもトラップミス。右サイドが詰まっていたのでスペースが空いていた
41分 ウルグアイはスペースに持ち上がる形がもう一回 エジプトは奪ってショートカウンター 
42分 ウルグアイは前の選手があまり動かず、戻りがやや遅い
45+1分 エジプトはアタッキングサードで崩しきれない
 
前半短評
エジプトの狙いは前に人をかけずにターゲットマンの9番に蹴る 相手のビルドアップでボランチに狙いを絞って高い位置で奪ってカウンター
ウルグアイの狙いは右に人をかける非対称のビルドアップ ご存じスアレスカバーニと10番アラスカエタが入れ替わり立ち替わりバイタルに顔を出し縦パスの的になるイメージ
ウルグアイは2CBをかなり信頼してる感じ 一方エジプトは最終ラインの4枚をほぼ崩さない
エジプトはしっかり守る ここにサラーが入れば確かにかなり怖いチームになりそう
今日は引き分けでもいいゲームプランなのかも
 
後半
2分 ウルグアイ カバーニスアレスにナイスパスからスアレスのうまい体の当て方で決定機もGKファインセーブ
3分 ウルグアイ ビルドアップ時に10番が中に入るのは変わらず
5分 エジプト ハメド⇒モルシ 怪我での交代
7分 エジプト やはり奪ってカウンターの形もトレゼゲのパス流れる
8分 ウルグアイのプランに大きな変更は見られないがエジプトは両SBが上がるようになってパスコースが増えている
10分 エジプトは片方のSBが上がって343のような形 ウルグアイはややマークが混乱しているか
13分 ウルグアイ ナンデス⇒サンチェス アラスカエタ⇒ロドリゲス 胸板厚いな~
14分 ウルグアイ ロドリゲスはアラスカエタより外に開く
17分 ウルグアイ そのかわりに右サイドのサンチェスが中に入る
18分 エジプト モフセン⇒カフラバ もしかしてエジプトは0-0狙いでサラーはビハインドのオプション?
19分 ウルグアイ カセレスがかなり高い位置を取るようになった
20分 エジプト ショートカウンターで数的同数もパスを出すタイミングが遅くてチャンス広げられない
23分 エジプト エルネニーがハーフスペースの崩しに参加してチャンス演出
24分 ウルグアイ サイドに人数をかけなくなってきたのでチャンスが少なくなってくる
26分 エジプト SBが高い位置取らなくなった
28分 ウルグアイ カバーニまた絶妙なパス出したがトラップ乱れてシュートまでいけず エジプトGK体でかいわ さっきからナイスGK
30分 ウルグアイ ベンタンクール視野広い
32分 ウルグアイ ゴディンの機を見た上がりもパスが流れてGKに
34分 エジプト 11番が縦に抜けるも中へのグラウンダーのパスはカセレスがナイスカット
36分 エジプト エルネニーが攻撃に絡むとチャンスになる
37分 エジプト ワルダ⇒ソブヒ サラーは出ず ここまで出なかったのでウルグアイのゲームプランをコントロール
38分 ウルグアイ スアレスの落としにカバーニが枠内に飛ばすもGKナイス反応でセーブ
39分 エジプト ソブヒの守備はやや怪しい プレスにいくのかいかないのかはっきりしない感じ
41分 エジプト ソブヒでかくて他馬鍬でしっかり押さえる
42分 ウルグアイ またしてもスアレスカバーニで絶好の位置でFKゲット このコースカバーニは得意だぞ
43分 ウルグアイ ベシーノ⇒トレイラ 俺のトレイラきた
43分 ウルグアイ カバーニのFKは枠に これウルグアイの日じゃないやつか
44分 ウルグアイ ヒメネスがこじ開けた!ヒメネスが上がって取ったファウルをヒメネスが決める MOMだわ
45+3分 エジプト パワープレイに転じるもこじ開けられず 試合終了
 
  • 総評
 
大注目プレーヤー、サラーのコンディションは整っていなかったようだが、それを逆手にとって「サラー出すぞ出すぞ作戦」ウルグアイのゲームプランをコントロールしたエジプトのベンチワークは素晴らしかった。
ウルグアイスアレスカバーニにいかにボールを集めるかというところで、右のビルドアップにこだわるプランA⇒3列目・4列目がハーフスペースめがけて持ち上がるプランBで決定機までは進んでいたもののスアレスがことごとく当たっておらず、逆にエジプトのGKを乗せる結果になってしまったのが残念。プランAにもう少しこだわってもよかったのかもしれないが、ボランチのベシーノがやや危ないところでボールを晒してショートカウンターを受けてしまうケースが多かったのでここは次回までに修正されているかどうか。
後半37分にサラーを出さないことを決めるまではほぼ完ぺきにエジプトのゲームプランだったと思うので0-0が妥当なゲームだったかな、と思っていたが、それを上回る個の質と機を見てDFまで攻撃参加する勝利への執念を持っていたウルグアイが地力の差を見せた結果となった。
エジプトはここから2連勝が絶対になったので、この短期間にサラーのコンディションが戻るかがカギになりそう。現状の前線ではアタッキングサードの攻略にやや難があるように見えたので……。
ウルグアイも同様にスアレスが当たっていないのが懸念点。それでもなんとか勝ち切れたので、大会が進むにつれてゴールを取れるかどうか。幸いにも(?)次の相手はサウジアラビアなのでここで2トップにゴールが生まれれば一気に調子を上げられるかも。
 
両チームともよくまとまっていてナイスゲームでした!
流石W杯だ。楽しいぜ。ただこのペースで分析が書けるとはとてもじゃないけど思えない。。笑

リズと青い鳥感想:それでも山田尚子にイエスと言う

リズと青い鳥」観てきた。
 
ほんとは劇場公開初日に見に行こうかとも思っていたのだがその日は我らがガンバ大阪の一年最重要イベントである大阪ダービーがあったため断念、一週間の後にようやくスケジュールを確保できたため大阪の某劇場に向かった。
GW最終日とはいえ客入りはややまばらといったところ。それほど大々的に宣伝していたわけでもなさそうなのでまあこんなものでしょうか。
以降ところどころにネタバレ的な部分が入るので未見の方はご理解いただきお進みください。
 
 私はたまこラブストーリーが至高のアニメ映画だと言ってはばからないほどの山田尚子信者なのですが結論から言うとこの映画についてはそこまでノレなかったというのが実際のところです。
 
山田尚子先生については私が語るまでもなくさまざまな媒体に分析考察の言及があるため詳細な記述は避けますが、とにかく「キャラクターの心情」を「所作」に落とし込むのが得意な監督です。それは単純にキャラクターの動きだけではなく、構図や音楽、役者の演技など、アニメを形作る各項目をどのように作用させればこの心情を最大限に魅せる「所作」を生み出すことができるかという点において非常に自覚的かつ偏執的ということです。ディテールこそが作品を決めると思っている私のような人間にとって山田尚子先生のような監督はまさに大好物というわけです。
 
この「リズと青い鳥」についてもその山田尚子先生の「所作」は遺憾なく発揮されていることには疑いありません。監督インタビューを読み込むまでもなく、キャラクターの動きとそれを切り取る構図、さらにそれをリズミカルに彩る音楽と、それぞれの要素が有機的に絡み合い二人の主人公を際立たせている。アニメーションでありながらそこにいる二人が現実に浮き出てくるような描写には息をのみました。
 
ではなぜ「ノレなかった」のか?
それは単に題材があまりに平凡で陳腐だったからと言うほかありません。
 
本作はそもそも「響け!ユーフォニアム」というとある高校の吹奏楽部を舞台にした小説をもとにしたアニメの登場人物である鎧塚みぞれと傘木希美にフォーカスを当てた物語。「響け!ユーフォニアム」自体はとてもよくできたアニメなのですが、その中でも端役と言われる二人の関係に絞って話を進めていったものなので、どうしても「ネタが足りない」と感じてしまったのです。
足りないネタを、山田先生の持つ「所作」に対する偏執でいっぱいにいっぱいに膨らませたような映画。この映画についてはそんな風に感じてしまったというのが正直なところです。
 
これは私の好き嫌いの問題といってもいいかもしれませんが、アニメシリーズのうちの1本ならともかく、90分の劇場版にお金を払って観に行くともなれば、私はその作品に対して「何らかの価値観の更新」を求めてしまいます。
この映画に関して言うならば、「平凡で普通な私」と「特別なあの子」という、キャラクターの属性に紐づけられた二人の関係をただたどってゆくだけだった。そこに何らの価値観の更新はなく、予定調和のエンディングに向けてただ進んでいくだけ。「とあるアニメの端役」であるからこそ、それぞれに紐づけられた属性を飛び越えられないのは仕方がないことなのかもしれませんが。
 
結果として、属性を飛び越えられないけれども「出逢ってしまった」二人に導かれるのはどうしようもない断絶。二人が自らの属性に従って、何らの更新もなくそれでも二人でいようとしている結末は、「ハッピーエンドがいいじゃん!」と語っていた希美のセリフに対してあまりにも残酷でした。いやdisjoint(互いに素、って意味だったんだね)⇒disjointじゃねーよ!おもっっっっきりdisjointのままじゃねーか!と。
 
劇場版にするぐらいなら、単純なキャラクターの属性を飛び越えたあらたな地平に物語の着地点を探してほしかった。いや探したつもりなのかもしれないけど僕にはそこまでのものを感じられなかった。お互いがお互いの属性に従って物語を展開するだけ。そういった意味でこの映画は僕にとってヤオイです。いやヤマはあったか。オチなしイミなし。
 
なんでこんなになったかっていうと、なんとなくこの映画が、原作⇔アニメの相互作用の中で作られた映画だってことも関係してたりするのかなーと思ったりしました。この作品はKAエスマ文庫発ってわけでもないから内製化っていうと違いますが、若い作家の原作が完成度の高いアニメに気圧されて原作とアニメのパワーバランスが悪くなった結果お互いがお互いに気を遣いあって自らの得意分野にこだわりすぎてるというか。ま、邪推もいいところですけど。
 
自分、聲の形はすげー好きなんですけど、あれは確固たる原作が柱として存在して、気を遣う必要がないアニメ側が殴り合いのケンカを挑んで、ってなったからあんだけ攻めたキャスティングで緊張感あっていい作品になったのかなーとか思ったりしたんで(あの映画のエンディング「aiko/恋をしたのは」は2016の自分的ベストトラックでもあります、あれも実に攻めたトラックだった)、やっぱりこの作品にはやや物足りなさを感じてしまったのはそのあたりにも理由があるような気がします。まあ繰り返しになりますがここまでくると単に好き嫌いだけって話だと思います。
 
山田尚子先生に得意なのかどうかわからない原作をやらせるのもどうかと思うので(それはそれでえげつないことになりそうなので非常に見てみたくはあるけれど)、どうか京都アニメーションさんは薄い原作に物量でモノ言わせるスタイルではなくもっと挑みかかれるような原作をあてがい山田尚子先生自身に新たな価値観を切り開かせるような采配を行ってほしいと思います。あ、俺が言いたかったのこれか。

「君の名は。」感想:新海誠と僕の立ち位置

 「君の名は。」観たのでこちらも軽く感想をば。
 
 総じて面白い映画だったのは間違いないのだが、「秒速」「言の葉」のときのような突き刺さり感はなかった。
 どうしてだろう、と考えていた結果、1つのインタビューにその理由の一端を得た。
 
 全ての人たちに楽しんでもらいたい、そう思ったからこそ生まれた『君の名は。』――新海誠監督にインタビュー
  
 僕の仕事は監督として、みなさんの結果を一番最適な形で107分の中に配置することになります。RADWIMPSの戦い方、田中さんのキャラクターデザインの戦い方、作画監督の安藤さんの戦い方、背景美術の戦い方、それぞれが鬼気迫るものでした。それを見ながらの作業は、楽しさというよりは苦しさとか、息苦しさでしたね(笑)。だた、それだけに頂けるものの豊かさは、ひとりの時とは比べ物になりませんでした。
 
 この部分を読んで、「秒速」「言の葉」と「君の名は。」における、新海誠の作品における立ち位置がだいぶ違うことに気づく。
 ざっくり言うと、「秒速」のときの新海誠は「アーティスト」であったのに対して、「君の名は。」のときの新海誠は「ディレクター」だったということ。
 
 新海誠といえば、ほぼ全てを一人で制作した「ほしのこえ」というところにキャリアの原点があるように、やはり「一人でなんでもやっちゃう人」≒「アーティスト」のイメージが僕にとっては強い。
 「ディレクター」という立ち位置を明確にして、今までとは一歩距離をおいて映画を作ったのは今回がはじめてではないだろうか。
 
 「映画監督」=「director」としては、いままでの関わり方よりもこちらの関わり方のほうがより語義に即しているとは思うが、結果として、そのせいで、今まで自分が新海誠の映画に感じていたフェティシズムっぽいものが少々薄まっていたように感じる。
 例えば、「秒速」における病的に描き込まれた新宿駅の描写とか、「言の葉」におけるユキノの素足とか。
 「君の名は。」にも比するモチーフはあったとは思うけど、あくまでこう「新海誠的な」感じを出すための描写っぽい感じがして、そこに必然性とか、執着とかそういうものを感じることが少なかったなぁ……と(田中将賀のキャラクターデザインで隠れた部分もあるとは思う)。
 
 ただ、それが原因でこの映画のクオリティが毀損されているというわけではなくて、単に「好みの問題」だとも思う。
 「秒速」「言の葉」「君の名は。」のどれもがボーイミーツガールを中心に動く物語ではあるが、順を追ってより内省的⇒非内省的に変わっていき、物語として、より「キミとボク」"以外"の部分とのかかわりについての比重が強くなってきている。
(「星を追う子ども」…… あっ(察し))
 どのあたりにバランスを置くか、は、すなわち映画をどのように作るか、ということにリンクしていると思われ、内省的であればあろうとするほど作品には「アーティスト」として孤独に向き合わなければならず、非内省的に、最大公約数的に作ろうとすると「ディレクター」としての役割が持つ比重を高めなければバランスが取れなくなるのではないか。
 「好みの問題」とは、そのどのあたりのバランスが映画を観る自分の肌に合っているかどうか。というところで、これは単にマーケティングの問題だろうと思う。
 
 「秒速」「言の葉」が自分に突き刺さったのはまさにその点で、「秒速」は大学入りたての暗黒期とも言える時期の自分の心象傾向に、「言の葉」は社会人なってしばらくしてから、理不尽とも上手く付き合って折り合いを付けていこうという自分の心象傾向に、それぞれの映画の「内省度」的なモノがビタっと合っていた。いわば、その時々における「僕のための映画」だったのだなぁと。
 
 一方で「君の名は。」は、前述のインタビューのタイトルにもあるように、「全ての人たちに楽しんでもらいたい 」ある種最大公約数的な作り方をしているからか、「自分に寄り添ってくれた新海誠作品」という幻想が頭のすみっこに居たままの自分にとってはあまりグサっとくる作品にならなかった、ということなのだろう。
 
 
 新海誠は同インタビュー上で"だからこそ、次からは同じ作り方はできないんだろうなとも思っています。"とも述べているので、次の作品では「アーティスト」的な作りを志向して、結果として自分に刺さる作品になるかもしれないし、そうでないかもしれない。
 どちらにせよ、「ディレクター」としてもあれだけのものを作れる能力があるということを示したという点で、僕が持つ新海誠という作家への信頼性は上がっているので、多分次の作品も観にいくことになるだろうなぁとは思っています。
 
 ただ、新海誠が内省的な作品を作らなかったら、一体誰が作るんだ!!!!???という風にも思うので、次は是非「アーティスト」志向で作品を作ってほしいものだなぁ、と個人的には思います。

シン・ゴジラ感想:虚構の恐怖、傍観の背徳

 ほとんど更新されない当ブログですがひさしぶりに衝撃を受け、長文を書きたくなったので更新。

 

 シン・ゴジラを観た。

 結論を先に言うと、映画を観てこんなに興奮したのは久しぶりってぐらい興奮した。以下ネタバレも交えつつの感想ですので、まだ劇場に行ってない人は是非行ってから読んで欲しい。

 

 公開初日に観にいったのだが別に熱心なファンだからそうしたというわけではなく、金曜の晩飲む相手もいないし暇だなぁどうしよっかなーと考えてたときに今日公開の旨がtwitterのタイムラインに流れてきたので、ちょうどいいしレイトショーで、って感じで非常にユルく、身構えずに劇場に行ったのを覚えている。

 だからスタッフなどの前情報もほとんど入ってなくて、そういや樋口監督進撃の巨人実写でボッコボコに叩かれてたし大丈夫かなぁ(なぜか庵野監督のことは深く考えてなかった)とか、まあ正直あんまり期待してなかったというのが実際。

 

 んで。今の東宝ロゴ⇒昔の東宝ロゴと移り変わる演出に、あ~初代リスペクトなんかねーと思ったのもつかの間。

 最初の10秒で「あれ、思ってたんと違うぞ」と一発目の衝撃を食らう。とにかく1カット1カットが早い、早すぎる。一気に情報量がバーンと増える。金曜、仕事終わりだったので頭は完全にリラックス、オフ状態になっていたので、一気に脳の処理速度を引き上げられる。

 そこからはひとつひとつのシーンが意味することを咀嚼し、処理していく心地良さを感じながら場面は進んでいく。めまぐるしいカット割とか廊下を歩く音とか立て板に水の官僚話術とかにとても音楽的な気持ちよさを感じたことも覚えている。

 

 後から振り返ればこのシーンを観ている時、自分は「完全に油断していた」。登場人物に置き換えるならば、総理大臣以下、中心閣僚の楽観派たちと似た気持ちだったと思う。会議室での緊迫しながらもどことなく危機感に欠けるやりとり、最初に上陸したゴジラのグロテスクながらも間抜けな表情(正直、立ち上がるまではゴジラじゃない別の怪獣とも思っていた)などを観て、あまり切迫した怖さというのを感じなかった、というのが正直なところ。

 一度目のゴジラ上陸時、押し流されるボートやなぎ倒されるビルを見て、先の震災被害のフラッシュバックから想起される恐怖も想定していたのだと思うが、震災を直接体験していない自分としては(詳細は述べないが、311のタイミングでたまたま海外に居た&関西在住だった)「そういう恐怖を想起させる演出なんだな」と斜に構えた見方になってしまっていた。

 

 結果として、この油断した自分の状況が衝撃をブーストさせるのに一役買った。

 

 話が飛ぶが、映画にせよ音楽にせよライブにせよ、自分にとっての名作/名演かどうかの判断基準は、自分の感情がある「閾値」を超えたかどうか、みたいな感覚がある。全体としての出来がどうだったかよりも、ある「閾値」を越えた一瞬があったかなかったかが優先される(全体の出来が閾値を超えないものは「良作」「良演」にカテゴライズされる傾向)。 

 なんとなく言い方が弱いので言い換えると、自分は割と斜に構えるほうで、素直に作品を受け入れられずにまずはシールドを張って近づいてしまうきらいがある。作品を通してそのシールドが破壊されて生身に攻撃を受ける一瞬があったかどうか。それが名作/名演かどうかの判断基準になる。

 

 この映画においてそれが破壊される一瞬。
 言うまでもないかもしれないが放射熱線による東京破壊のシーンだ。

 

 まず油断。
 米軍の貫通弾がゴジラに「効いた」時の「何とかなるかも」という弛緩した空気。
 それを受けてゴジラが吐き出した赤色の火炎がじゅうたんのようにゴジラの足元を焼いた瞬間の「あ、でもこんな程度で済むんだ」というまさに対岸の火事を眺めるような心持ち。

 

 そして破壊。
 のろまな赤色の火炎が、強烈なレーザービームに切り替わった瞬間。
 見知ったビルが次々と、これでもかと破壊、というより両断されていく様を観てそこまで自分にあった余裕は一気にカスカスの空っぽになる。今まで味わったことがないぐらいの絶望感をこれでもかと叩きこまれる。スクリーンという虚構を前にして、「もうやめてくれ!」と叫びたくなる気持ちが湧き上がっていく。

 

 ここまで自分の恐怖が呼び起こされるとは思わなかった。

 

 これは今回のゴジラの放射熱線が「細く、高速で、硬い」「射程無視の貫通ビーム」という形態だったことが起因していると分析している。自分の記憶にある所謂「vsシリーズ(vsスペースゴジラ、vsデストロイアなど)」のゴジラの放射熱線は、ぶっとくて力強いが、遅く、やわらかく、ゴジラの攻撃が命中するのは特定の敵怪獣固体で、その攻撃は自分には向かわないという(当たり前なんだけど)どこか「傍から見る」ことのできる攻撃だった。

 

 今回のゴジラの放射熱線は「超長射程の全範囲攻撃」だ。

 

 逃げ出した総理大臣以下中心閣僚の乗ったヘリが放射熱線の直撃を受けて大破すると、その攻撃が「自分にも届くのではないか?」というありもしない疑念が頭をもたげる。虚構の恐怖ににじり寄られる。
 一方で「これは虚構だ」と認識しているもう半分の、現実側の自分は、東京という世界有数の大都市が受けるまさに圧倒的破壊を、背徳的な快感をもって傍観する。
 
 恐怖と背徳がないまぜになったどろどろした感情がとめどなく流れ、圧倒的な興奮とともにシン・ゴジラは僕の「閾値」を超えた。
 あのシーンを観た衝撃を今後忘れることはないと思う。


 …… ここからの展開も語りたい、語るべきポイントは沢山あるのだが、あのシーンの印象がむちゃくちゃ強かったのと、正直ちょっと書くのに疲れてきた、、ので詳しくは言及しないことにする。笑
 あのシーンの後はなんというかウイニング・ランのような気分で眺めていたように思う。じゃんじゃんばらばら玉が出まくるパチンコ台のように、おもしれーおもしれーって思いながら観ていたような。パチンコやったことないけど。
 新幹線爆弾⇒在来線爆弾のくだりとか最高だったなぁ。

 

 

 さて。
 今回のシン・ゴジラを観た自分の状況は本当に恵まれていたな、と思う。
 いろいろなところで、名作!とか傑作!とか聞いたり前情報を仕入れまくったりした後に劇場に行ってしまうと、身構えてしまってこの新鮮な感情を味わうことはできなかった可能性もあるのではないか。
 これを読みきってくれたのはおそらく劇場に行かれた方ばかりだとは思うが、できる限り多くの人に新鮮な気持ちであのシーンを、あの衝撃を味わってもらい、そしてその衝撃について語り合いたいと思ったのでした。おしまい。

Splatoonのやりすぎで観る時間ない勢による2016冬アニメ感想

 今日は寒いですね。
 
 今期は自分の中で大注目作!!!覇権!!!!!みたいなのがない印象なわりに見逃すには惜しいっぽいタイトルがたくさん並んでいるので、久しぶりにゴリゴリアニメを観てしまっています。というわけで1~2話程度観たアニメについて備忘録的に感想を書き記していくよ!
 
・アクティヴレイド −機動強襲室第八係
 谷口悟朗監督作品(コードギアス等)なので視聴リストにイン。
 テンポがよく台詞回しがミョーにアニメアニメしてないので楽しく観ていられる。 
 が、僕は「世間知らずの主人公がその世間知らずさゆえにいろいろやらかす」という物語の転がし方にはすごいひやひやしてしまうタイプなので、途中まで超ひやひやしながら観てました。いや今もひやひやしながら観てます。あとキャラデザが思ったよりくどい、慣れるかなぁ…
 
 ずーっと観てるので付き合いで観てます!
 導入とか一切無くほぼ前回の続きから始まった。もはや最初のほうのストーリーとかほぼ覚えてないけど、「転」はシリーズ屈指の面白さだったように思うので今回はどうかなあ。主人公が狂ってる系のアンチ正道ストーリー大好きです。
 キャラクターが多すぎて新たに見始めるにはまーーーーったく薦めません!
 
・少女たちは荒野を目指す
 タイトル、登場キャラクターからありがちなボーイミーツガール系ラノベアニメかと思ったが、序盤の日常描写でコミュ力が高く、それが物語上でも担保されている、というラノベには珍しいタイプの主人公という印象を植え付けられたのが○(実際にコミュ力ある主人公がコミュ力無いかのように描写されるアニメって多いですよね~~お前そのコミュ力あったら余裕でリア充生活送れるだろネクラなめんな????みたいな)
 視聴継続。
 
・紅殻のパンドラ
 シリアスストーリーなのかと思ったら、や、ただの萌えアニメじゃないですかーーー!!!!
 一昔前のキャラデザ。一昔前の台詞回し。なんか10~15年前くらいにタイムスリップした気分を味わえます。といっても10年前ってハルヒかぁ…なんかもっと前っぽい感じもするな。ここからシリアスストーリーに転じていくのか?今のところ毒にも薬にもならない系のアニメ。切るかも…
 
・灰と幻想のグリムガル
 異世界モノだが、主人公がもとの世界の記憶をなくしていること、主人公がガチで弱いことなど、既存の枠組みを逆手に取った設定の妙が○。
 序盤の生活シーンではいけてない新入社員たちのグループ研修を見た時の気持ちを想起してしまった。最初はみんな自己犠牲精神にあふれているよね!最初はね!!そのうちこのリーダーキャラが周りの無能どもに足引っ張られすぎて徐々に闇落ちしていくのかなぁ…など色々考えられて今後の展開も楽しみ。
 あとキャラデザが異常に好み。隠れ巨乳ちゃん(名前覚えてない)がとにかく最高今期のヒロインNo1!!なので視聴継続!!!!今期一の期待枠かも。
 
・ハルチカ
 PA、学園モノなのになんでそんなキャラデザにしたんや…くどい、くど過ぎる……………
 原作は既読、読んでる時からキャラ設定がラノベっぽいなと思ったけどラノベレーベルの作品ではない。一応シリーズ読破するぐらいだったからストーリーは面白かったと思うけど、キャラデザが鼻につきすぎて。
 TARITARI程度のアクの強さならまだ良かったものの。視聴継続できるかなぁ…
 
・ブブキ・ブランキ
 1話はとりあえずナゾだけぶっこんでみました!って感じ。
 いろんなものを頭で補完しながら観ないとついていけないかも?
 3D作画が許せるなら、劇場版クオリティの作画を楽しんでください。
 ストーリーをきちんと面白く展開できるかどうかですね。
 一応視聴継続。
 
・無彩限のファントム・ワールド
 京アニのオリジナルは当たり外れの差がどでかいんですけど、今回は外れですね…まあ惰性で観続けると思うけど
 中二病といい、石原監督の作品から感じる俗っぽさはなんなんでしょうね…
 
・この素晴らしい世界に祝福を!
 ストーリーは異世界モノに対するアンチテーゼって感じでちょっとあまのじゃくなつくりになっているのがなかなか良いと思うんだけれども、いかんせん作画がボロボロなのがなあ。一話でこれはかなりヤバい。でもストーリーはかなり皮肉が利いてて面白い。作画だけ何とかしてくれ頼む。
 そしてエンディングテーマはあのハンバート・ハンバート佐藤良成が担当するのにびっくり。何故起用した。
 一応視聴継続。
 
 今期イチ面白いと思うし、原作ではアクの強かったキャラデザも良い感じに万人ウケするようにまとめてきた感じ。
 問題は僕が原作既読勢なのでだいたいのストーリーを読めてるとこなんだよね…
 そこが気にならない人か、原作未読勢は確実に視聴継続したほうがいいですよ!!
 あと加代ちゃん最高。
 
・亜人
 おお、ポリゴンピクチュアズ!って感じの絵。好き嫌い別れるけどストーリーは折り紙つきですし作画は最後まで崩れないでしょう。信頼のクオリティなのですが、上記と同じく原作既読なのが…
 
 原作既読。
 落語シーンはくどいと各地で評判のようですが、僕はあそこの声優の演じ方や演出の妙がこのアニメの肝だと思っております。
 主題歌、歌っているのは林原めぐみなんだけどかんっぜんに椎名林檎で逆にここまで椎名林檎感を出せるのってすごいなと思う。
 原作は今のところとにかく傑作なので、是非読んでください。
 僕は原作を読んだ影響で落語も観に行きました。
 
・だがしかし
 原作既読。肩の力抜いて楽しむ系です。
 2話まで観たところ、テンポもよくてギャグセンスも自分の肌に合っているため、今のところかなり楽しめてます。1人で観るよりは、だれかと見ながらあ~あったな~とか言って楽しんだほうが面白いかも。
 ニコ生推奨。あるんか知らんが。
 
・ディメンジョンW
 原作既読。OPでキョーマがナゾのダンスを始めた時は頭を抱えたが、他はほぼ原作準拠。
 事前情報で気になっていたミラたそのキャラデザも、いざ動いているところを観るとそれほど違和感が無かったのでまあOKかな。願わくばミラたそには坂本真綾を起用してほしかったけどお前それもうアイギスじゃねぇか!ってなるから仕方ないね…
 
以上です。
あとオルフェンズは継続で見てるけど安定の面白さ(マリー党)
 
あえてランク付けするなら、
1.灰と幻想のグリムガル
かな。どんどん入れ替わりそうですが…
 
めちゃくちゃ観てましたね。観る時間足りない勢などと嘘をついてしまい申し訳ございません。他にもオススメのアニメ等あったら教えてください!観るかは分かりませんが!では!!