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レビュー:「この復讐にギャルはいらない(1) / まの瀬」

 

 「顔がこの世に向いてない。」まの瀬先生の新刊。前作のテンポやギャグセンスが大好きだったので、表紙見て即購入。いつの間にかヤングアニマルに移籍されてたんすね。

 今回も前作と同じく、主人公とヒロインを中心にしたテンポの良い会話劇が繰り広げられる。幼いころに両親を亡くした主人公は、拾われた"ファミリー"で殺し屋として育てられるも、裏切って身を隠し地味な高校生として生きていた。ヒロインは、暴漢に絡まれていたところを主人公に助けられたギャル。彼女が自分にとってあまりに都合がいい存在であるがゆえに、主人公はヒロインを"ファミリー"からの刺客では?と疑い始め――というお話。

 前作では設定の縛りで書けなかった「かわいい女の子」をガッツリ書いていらっしゃるのが特徴。1話に1回、キャッチーで魅力的な大ゴマが差し込まれる。こんないい表情書ける人だったんだなぁ。

 まの瀬先生の得意技であろう「認識のズレ」から生まれる笑いのパターンの豊富さ、ギャグセンスの良さは健在で、今作でも小気味良く笑わせてくれる。が、なにぶん設定はゴリゴリにハードなので、どこでシリアスに転ぶかわからない危うさも内包されているのが一筋縄ではいかないところ。このままギャグに振り切ってもいいし、どこかでシリアスにガラっと振ってみても面白そう。

 ところでヤングアニマル白泉社の雑誌だけど、パロディ元がジャンプとかサンデーばっかなのは良いんだろうか……。いや、面白いんですけど。笑