1月に読んだ漫画たち
1月に読んだ漫画たちをつらつら並べていく。
<Kindle>
・結婚するって、本当ですか(9) / 若木民喜
今年のガンバには期待できそうですか?若木先生……。
・スキップとローファー(8)/ 高松美咲
こうきたかー!でもこうくるよなー!キャラの動きに対して、その下地となる心の動きが丁寧に書かれていて気持ちいい。俺も子供には惜しみない愛を注ごう……
不気味なドラえもん……。まだ伏線ちりばめ段階だけど作者のクセを考えたらこっからどんどん急展開が来そうで楽しみ。
・R15+じゃダメですか?(3)/ 裏谷なぎ, 岸谷轟
映画見る時間ないのに映画がテーマの漫画は読んじゃうのなんでなんだろうね。キャラクターが愛らしくて素敵な漫画です。
・スケッチー(6) / マキヒロチ
終わっちゃったあ。単行本で毎回冒頭に差し込まれる見開きのタイトルが好きでした。漫画というフォーマットであんまり使わない表現から、スケートボードを表現したい!というリスペクトを全面に感じていて良かった。おすすめ!
・TIEMPO―ティエンポ― (15)/ 飯野大祐
わっきーさんきっかけで読み始めたんだけどずっと読んでる。今巻、主人公のイカレ具合が最高だった。戦術系のパートもおもしろいけどいちばんゾクっとくるのはこういうキャラクターの魅力が前面に出る瞬間。
本誌の展開が激しすぎるので、落ち着いて読み返します。
正直惰性で買ってる。家買う前に読めばよかった。
・来世は他人がいい(7) / 小西明日翔
この漫画はヒロインが伊達じゃないかっこよさなのが良い。
・モブ子の恋(15)/ 田村茜
この漫画にしてはめずらしい、読者にストレスを与える展開。ということは、そろそろ大団円を意識しているのかなぁ。
・フラジャイル(24) / 恵三朗, 草水敏
火箱たん可愛いよ火箱たん。今回は出番が多くて嬉しいぞ。そしてほんと年取って涙腺弱くなったなと感じる。今回も2~3回崩壊しかけた。
・スーパーの裏でヤニ吸うふたり(2) / 地主
なんか20年ぐらい昔の漫画を読んでる気分。これが流行るのは面白い。
・紛争でしたら八田まで(11) / 田素弘
毎回差し込まれるサッカーネタを楽しみに読んでます。
・この復讐にギャルはいらない(1) / まの瀬
レビュー書いた。
<紙>
・放課後ひみつクラブ(1)/ 福島鉄平
レビュー書きたいぐらいハマってるんだけど、レビューでこの漫画の良さを表現できる気がしない。とりあえず読んでくれ!!!
・おとなになっても(8)/ 志村貴子
レビュー書いた。
・黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ(2)
藤田先生×フェミニズム。
レビュー:「この復讐にギャルはいらない(1) / まの瀬」
「顔がこの世に向いてない。」まの瀬先生の新刊。前作のテンポやギャグセンスが大好きだったので、表紙見て即購入。いつの間にかヤングアニマルに移籍されてたんすね。
今回も前作と同じく、主人公とヒロインを中心にしたテンポの良い会話劇が繰り広げられる。幼いころに両親を亡くした主人公は、拾われた"ファミリー"で殺し屋として育てられるも、裏切って身を隠し地味な高校生として生きていた。ヒロインは、暴漢に絡まれていたところを主人公に助けられたギャル。彼女が自分にとってあまりに都合がいい存在であるがゆえに、主人公はヒロインを"ファミリー"からの刺客では?と疑い始め――というお話。
前作では設定の縛りで書けなかった「かわいい女の子」をガッツリ書いていらっしゃるのが特徴。1話に1回、キャッチーで魅力的な大ゴマが差し込まれる。こんないい表情書ける人だったんだなぁ。
まの瀬先生の得意技であろう「認識のズレ」から生まれる笑いのパターンの豊富さ、ギャグセンスの良さは健在で、今作でも小気味良く笑わせてくれる。が、なにぶん設定はゴリゴリにハードなので、どこでシリアスに転ぶかわからない危うさも内包されているのが一筋縄ではいかないところ。このままギャグに振り切ってもいいし、どこかでシリアスにガラっと振ってみても面白そう。
ところでヤングアニマルは白泉社の雑誌だけど、パロディ元がジャンプとかサンデーばっかなのは良いんだろうか……。いや、面白いんですけど。笑
レビュー:「おとなになっても(8)/志村貴子」
志村貴子先生の「おとなになっても」8巻を読みました。
未読の方に一言でこの漫画を説明するなら「大人百合」。小学校教師の綾乃とバーで働く朱里がひょんなことから意気投合して……みたいな話。
タイトルが示す通り主人公たちはもう「おとな」なので、色々なコミュニティに属している。物語は主人公ふたりの関係を軸にしながらも、それだけに終始するのではなく彼女たちをとりまくコミュニティで起きる問題を絡めながら群像劇的に進行していく。
志村先生は群像劇がお得意で、コミュニティの描き方がべらぼうにうまい。それは台詞/モノローグなどのバーバルなツール、表情などのノンバーバルなツールの両方において、わずかな描写が表現するリアリティの圧倒的な深さで表現される。たった数コマで人物/環境の息づかいからそのバックボーンに至るまでの奥行きを感じることができる。
この物語は、ふたりの関係にフォーカスして書いちゃえば「大人百合」なんだけど、彼女らの属するコミュニティ――ふたりとの距離を測りかねる彼女らの家族だったり、綾乃の職場でこじれた関係に悩む小学生だったり――を経由することで、なぜ彼女たちの関係性がスペシャルで、ままならなくて、愛おしいのかがより深く伝わってくる構成になっている。
逆に言えば、ふたりの物語を読んでいるようでいながら、彼らをとりまく人々の生きざまの酸いと甘いも合わせて読めてしまう。一粒でいくつもの味があって、何度読み返しても面白い発見がある。
その発見に通底するテーマを束ねるコンセプトとして、タイトルの「おとなになっても」がとにかく秀逸。「おとなになっても」、それだけで完結する言葉ではない。おとなになっても変わらない、おとなになっても続いてる、おとなになっても始められる――とか、読者が想像力を持って埋められる空白が、そのまま作品としての懐の広さに繋がっていると思う。
8巻は「主人公たちの新生活」という形で、物語はいくつかのクライマックスを迎える。上述したマクロな構成の部分だけじゃなくて、ミクロなひとコマひとコマにキラーフレーズが盛りだくさん。
個人的には、そのクライマックス……とは逸れるかもしれないが、江川さん親子が最高だった。お母さんの方はアンダーコントロールに子育てができてると思ってそうだけど実はそうじゃなくて、でも江川さん自身はグレてる訳じゃなくていい子なんだけど、親の思ってない面白い方向に成長していってる感じが……。
追伸:河田!生きとったんかワレ!
GRAPEVINE「ALL THE LIGHT」:時代が彼らに追いついたというか、彼らに合う時代になったというか
GRAPEVINE「ALL THE LIGHT」を聴いた。
ALL THE LIGHT (初回限定盤:CD + DVD)
- アーティスト: GRAPEVINE
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2019/02/06
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
通算16枚目のアルバムだそうだが相変わらずマンネリ感は微塵も感じない。前作「ROADSIDE PROPHET」は歌モノ寄りで聴きやすいメロディをベースにして、その中でGRAPEVINEがキャリアの中で培ってきた引き出しから小品をちりばめたようなアルバムだったのと比較すると、今作はリズム的にも、音的にもやや実験テイストのトラックが多い印象。
メンバー3人全員が作曲できる彼ら。デビュー初期は各々の持ち寄ったメロディーをセッションで練り上げるような形で作曲を進めてきたそうだが、最近は一からジャムセッションで作る曲も多い。GRAPEVINEファンには周知の事実だが、ジャムセッションきっかけのものは"GRAPEVINE"名義、そうでないものは個人名義という形で、作曲者のクレジットに注目すると曲の成り立ちが分かるようになっている。
その作曲者のクレジットに注目してアルバムの要素を分析してみる。「メンバー全員が作曲できる」とは書いたものの、これまでの歴史上、シングルなどの売れ線曲、所謂「GRAPEVINEっぽい曲」を担当しているのはほぼドラムの亀井である。*1 その点に注目しても、今作の「亀井曲」は10曲のうち4曲しかない。クレジットから見ても、近作、というか恐らくこれまでの彼らの歴史の中でも最も「亀井曲」=「GRAPEVINEっぽい曲」が少ない実験的なアルバムといえる。
具体的には、tr.1「開花」で(多分)初めてのアカペラ、tr.4「ミチバシリ」でのタブラアレンジ、tr.6「こぼれる」での複雑なコーラスワーク、tr.10「すべてのありふれた光」の間奏のポリリズムなど。随所に新しい取り組みがみられるのが今作「ALL THE LIGHT」の感触だ。
GRAPEVINEがこうして、アップデートを繰り返しながらコンスタントに新作のリリースを続けられるのはなぜだろうか?
もちろん、各所のインタビューにあるようなプロデューサーのもたらす影響も大きいのだろうが、以下では筆者の私見を述べていきたい。
ここ数年、特にレーベル移籍以降のGRAPEVINEは良い意味で「流されている」ーー言い換えれば、「良い作品をリスナーに届ける」ということ以外については非常にこだわりの薄いバンドになっていると感じる。
自分たちの方法論であるとか、アーティストとしてどう見られたいであるとか、そうした楽曲以外のことに対しては「好きなようにやったらええやん」というのが基本的なスタンスである。例えば、「シングルカットはスタッフの意見で決めた」とか「PV撮影について言われることはなんでもやる」とか、実にアーティストとしてのプライドに欠けた(ように聞こえる)発言が彼らのインタビューでは次々飛び出してくる。
この発言たちをどう受け取るかは人によると思うが、筆者はこのスタンスこそがキモだと考えている。
近年、彼らの周りで起きている事象として、不自然なまでに新進気鋭のアーティストとの共演が増えているということが挙げられる。
やや時系列はずれるが、シャムキャッツのイベントに呼ばれたりSuchmosと対バンしてみたり、今年は中村佳穂なんていう今まさにキテるようなアーティストと対バンが決まっていたり、若くて実力のあるアーティストと共演することが本当に多くなっている。
そしていちファンの贔屓目と笑われるかもしれないが、こうしたアーティスト達からGRAPEVINEへのリスペクトを感じる。おそらくそれは音楽性について、というよりもこのバンドの生き方について、だ。
一過性のブームでしぼんでなくなるわけでも大きくなりすぎて分解してしまうわけでもなく、好きな音楽をやって感性をアップデートして、それでも長くメシを食っていけている。若い彼らからするとGRAPEVINEのようなバンドは理想のロールモデルの一つだろう。
GRAPEVINE自身が対バン相手を決めているということはおそらくないだろうからブッキング自体はきっと周りのスタッフの手によるものと思われる。想像でしかないが、レーベル移籍を期にかなり若いスタッフに入れ替わったのではないか。
彼なのか彼女なのかわからないが、そうしたスタッフたちの時代感覚と若いアーティストが持つGRAPEVINEの生き方へのリスペクト、そしてGRAPEVINEの「流されている」ことを良しとし、提案をなんでも受け入れる姿勢がこうした共演の顛末だったりすると面白い。
筆者は、こうした若い世代との共演がもたらした刺激で、彼らがもつ実験的精神が喚起されつづけていることが、彼らがバンドとして生き続け、アップデートを繰り返していける遠因なのではないかと考えるのである。
仮にそうだとすると、まるで若い女の生き血を吸って長命を保つ吸血鬼のようだが、ファンとしてはこれからも長く彼らのアップデートし続ける音楽を聴き続けられるわけであるから、一向にそれで構わないのである。
*1:ファンには(時にはメンバー自身にも)「亀井曲」などと称される。
MASS OF THE FERMENTING DREGS「No New World」レビュー、というより雑感
ロシアW杯GroupC デンマークvsフランス 戦評
ロシアW杯GroupF ドイツvsメキシコ 戦評
- システム
- 時間帯別メモ
- 総評