ちくわの穴は空洞です。

文章力をなまらせないためのブログ

1月に読んだ漫画たち

1月に読んだ漫画たちをつらつら並べていく。

 

Kindle

・結婚するって、本当ですか(9) / 若木民喜

 今年のガンバには期待できそうですか?若木先生……。

 

・君は放課後インソムニア(11)/ オジロマコト

 読むサプリメントデトックス!!!

 

・スキップとローファー(8)/ 高松美咲

 こうきたかー!でもこうくるよなー!キャラの動きに対して、その下地となる心の動きが丁寧に書かれていて気持ちいい。俺も子供には惜しみない愛を注ごう……

 

ビバリウムで朝食を(1)/ 道満晴明

 不気味なドラえもん……。まだ伏線ちりばめ段階だけど作者のクセを考えたらこっからどんどん急展開が来そうで楽しみ。

 

・R15+じゃダメですか?(3)/ 裏谷なぎ, 岸谷轟

 映画見る時間ないのに映画がテーマの漫画は読んじゃうのなんでなんだろうね。キャラクターが愛らしくて素敵な漫画です。

 

・スケッチー(6) / マキヒロチ

 終わっちゃったあ。単行本で毎回冒頭に差し込まれる見開きのタイトルが好きでした。漫画というフォーマットであんまり使わない表現から、スケートボードを表現したい!というリスペクトを全面に感じていて良かった。おすすめ!

 

・TIEMPO―ティエンポ― (15)/ 飯野大祐

 わっきーさんきっかけで読み始めたんだけどずっと読んでる。今巻、主人公のイカレ具合が最高だった。戦術系のパートもおもしろいけどいちばんゾクっとくるのはこういうキャラクターの魅力が前面に出る瞬間。

 

・【推しの子】(10)  / 赤坂アカ, 横槍メンゴ

 本誌の展開が激しすぎるので、落ち着いて読み返します。

 

・正直不動産(16) / 大谷アキラ, 夏原武, 水野光博

 正直惰性で買ってる。家買う前に読めばよかった。

 

・来世は他人がいい(7) / 小西明日翔

 この漫画はヒロインが伊達じゃないかっこよさなのが良い。

 

・モブ子の恋(15)/ 田村茜

 この漫画にしてはめずらしい、読者にストレスを与える展開。ということは、そろそろ大団円を意識しているのかなぁ。

 

・フラジャイル(24) / 恵三朗, 草水敏

 火箱たん可愛いよ火箱たん。今回は出番が多くて嬉しいぞ。そしてほんと年取って涙腺弱くなったなと感じる。今回も2~3回崩壊しかけた。

 

・スーパーの裏でヤニ吸うふたり(2) / 地主

 なんか20年ぐらい昔の漫画を読んでる気分。これが流行るのは面白い。

 

・紛争でしたら八田まで(11) / 田素弘

 毎回差し込まれるサッカーネタを楽しみに読んでます。

 

・この復讐にギャルはいらない(1) / まの瀬

レビュー書いた。

twikkun.hatenablog.jp

 

 

<紙>

・放課後ひみつクラブ(1)/ 福島鉄平

 レビュー書きたいぐらいハマってるんだけど、レビューでこの漫画の良さを表現できる気がしない。とりあえず読んでくれ!!!

 

・おとなになっても(8)/ 志村貴子

レビュー書いた。

twikkun.hatenablog.jp

 

・黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ(2)

 藤田先生×フェミニズム

レビュー:「この復讐にギャルはいらない(1) / まの瀬」

 

 「顔がこの世に向いてない。」まの瀬先生の新刊。前作のテンポやギャグセンスが大好きだったので、表紙見て即購入。いつの間にかヤングアニマルに移籍されてたんすね。

 今回も前作と同じく、主人公とヒロインを中心にしたテンポの良い会話劇が繰り広げられる。幼いころに両親を亡くした主人公は、拾われた"ファミリー"で殺し屋として育てられるも、裏切って身を隠し地味な高校生として生きていた。ヒロインは、暴漢に絡まれていたところを主人公に助けられたギャル。彼女が自分にとってあまりに都合がいい存在であるがゆえに、主人公はヒロインを"ファミリー"からの刺客では?と疑い始め――というお話。

 前作では設定の縛りで書けなかった「かわいい女の子」をガッツリ書いていらっしゃるのが特徴。1話に1回、キャッチーで魅力的な大ゴマが差し込まれる。こんないい表情書ける人だったんだなぁ。

 まの瀬先生の得意技であろう「認識のズレ」から生まれる笑いのパターンの豊富さ、ギャグセンスの良さは健在で、今作でも小気味良く笑わせてくれる。が、なにぶん設定はゴリゴリにハードなので、どこでシリアスに転ぶかわからない危うさも内包されているのが一筋縄ではいかないところ。このままギャグに振り切ってもいいし、どこかでシリアスにガラっと振ってみても面白そう。

 ところでヤングアニマル白泉社の雑誌だけど、パロディ元がジャンプとかサンデーばっかなのは良いんだろうか……。いや、面白いんですけど。笑

 

レビュー:「おとなになっても(8)/志村貴子」

 志村貴子先生の「おとなになっても」8巻を読みました。

 

 

 未読の方に一言でこの漫画を説明するなら「大人百合」。小学校教師の綾乃とバーで働く朱里がひょんなことから意気投合して……みたいな話。

 

 タイトルが示す通り主人公たちはもう「おとな」なので、色々なコミュニティに属している。物語は主人公ふたりの関係を軸にしながらも、それだけに終始するのではなく彼女たちをとりまくコミュニティで起きる問題を絡めながら群像劇的に進行していく。

 

 志村先生は群像劇がお得意で、コミュニティの描き方がべらぼうにうまい。それは台詞/モノローグなどのバーバルなツール、表情などのノンバーバルなツールの両方において、わずかな描写が表現するリアリティの圧倒的な深さで表現される。たった数コマで人物/環境の息づかいからそのバックボーンに至るまでの奥行きを感じることができる。

 

 この物語は、ふたりの関係にフォーカスして書いちゃえば「大人百合」なんだけど、彼女らの属するコミュニティ――ふたりとの距離を測りかねる彼女らの家族だったり、綾乃の職場でこじれた関係に悩む小学生だったり――を経由することで、なぜ彼女たちの関係性がスペシャルで、ままならなくて、愛おしいのかがより深く伝わってくる構成になっている。

 

 逆に言えば、ふたりの物語を読んでいるようでいながら、彼らをとりまく人々の生きざまの酸いと甘いも合わせて読めてしまう。一粒でいくつもの味があって、何度読み返しても面白い発見がある。

 

 その発見に通底するテーマを束ねるコンセプトとして、タイトルの「おとなになっても」がとにかく秀逸。「おとなになっても」、それだけで完結する言葉ではない。おとなになっても変わらない、おとなになっても続いてる、おとなになっても始められる――とか、読者が想像力を持って埋められる空白が、そのまま作品としての懐の広さに繋がっていると思う。

 

 8巻は「主人公たちの新生活」という形で、物語はいくつかのクライマックスを迎える。上述したマクロな構成の部分だけじゃなくて、ミクロなひとコマひとコマにキラーフレーズが盛りだくさん。

 

 個人的には、そのクライマックス……とは逸れるかもしれないが、江川さん親子が最高だった。お母さんの方はアンダーコントロールに子育てができてると思ってそうだけど実はそうじゃなくて、でも江川さん自身はグレてる訳じゃなくていい子なんだけど、親の思ってない面白い方向に成長していってる感じが……。

 

 追伸:河田!生きとったんかワレ!

GRAPEVINE「ALL THE LIGHT」:時代が彼らに追いついたというか、彼らに合う時代になったというか

 GRAPEVINE「ALL THE LIGHT」を聴いた。

 

ALL THE LIGHT (初回限定盤:CD + DVD)

ALL THE LIGHT (初回限定盤:CD + DVD)

 

 

 通算16枚目のアルバムだそうだが相変わらずマンネリ感は微塵も感じない。前作「ROADSIDE PROPHET」は歌モノ寄りで聴きやすいメロディをベースにして、その中でGRAPEVINEがキャリアの中で培ってきた引き出しから小品をちりばめたようなアルバムだったのと比較すると、今作はリズム的にも、音的にもやや実験テイストのトラックが多い印象。

 メンバー3人全員が作曲できる彼ら。デビュー初期は各々の持ち寄ったメロディーをセッションで練り上げるような形で作曲を進めてきたそうだが、最近は一からジャムセッションで作る曲も多い。GRAPEVINEファンには周知の事実だが、ジャムセッションきっかけのものは"GRAPEVINE"名義、そうでないものは個人名義という形で、作曲者のクレジットに注目すると曲の成り立ちが分かるようになっている。

 その作曲者のクレジットに注目してアルバムの要素を分析してみる。「メンバー全員が作曲できる」とは書いたものの、これまでの歴史上、シングルなどの売れ線曲、所謂「GRAPEVINEっぽい曲」を担当しているのはほぼドラムの亀井である。*1 その点に注目しても、今作の「亀井曲」は10曲のうち4曲しかない。クレジットから見ても、近作、というか恐らくこれまでの彼らの歴史の中でも最も「亀井曲」=「GRAPEVINEっぽい曲」が少ない実験的なアルバムといえる。

 具体的には、tr.1「開花」で(多分)初めてのアカペラ、tr.4「ミチバシリ」でのタブラアレンジ、tr.6「こぼれる」での複雑なコーラスワーク、tr.10「すべてのありふれた光」の間奏のポリリズムなど。随所に新しい取り組みがみられるのが今作「ALL THE LIGHT」の感触だ。

 

 GRAPEVINEがこうして、アップデートを繰り返しながらコンスタントに新作のリリースを続けられるのはなぜだろうか?

 もちろん、各所のインタビューにあるようなプロデューサーのもたらす影響も大きいのだろうが、以下では筆者の私見を述べていきたい。

 ここ数年、特にレーベル移籍以降のGRAPEVINEは良い意味で「流されている」ーー言い換えれば、「良い作品をリスナーに届ける」ということ以外については非常にこだわりの薄いバンドになっていると感じる。

 自分たちの方法論であるとか、アーティストとしてどう見られたいであるとか、そうした楽曲以外のことに対しては「好きなようにやったらええやん」というのが基本的なスタンスである。例えば、「シングルカットはスタッフの意見で決めた」とか「PV撮影について言われることはなんでもやる」とか、実にアーティストとしてのプライドに欠けた(ように聞こえる)発言が彼らのインタビューでは次々飛び出してくる。

natalie.mu

 

 この発言たちをどう受け取るかは人によると思うが、筆者はこのスタンスこそがキモだと考えている。

 

 近年、彼らの周りで起きている事象として、不自然なまでに新進気鋭のアーティストとの共演が増えているということが挙げられる。

mikiki.tokyo.jp

 やや時系列はずれるが、シャムキャッツのイベントに呼ばれたりSuchmosと対バンしてみたり、今年は中村佳穂なんていう今まさにキテるようなアーティストと対バンが決まっていたり、若くて実力のあるアーティストと共演することが本当に多くなっている。

 そしていちファンの贔屓目と笑われるかもしれないが、こうしたアーティスト達からGRAPEVINEへのリスペクトを感じる。おそらくそれは音楽性について、というよりもこのバンドの生き方について、だ。

 一過性のブームでしぼんでなくなるわけでも大きくなりすぎて分解してしまうわけでもなく、好きな音楽をやって感性をアップデートして、それでも長くメシを食っていけている。若い彼らからするとGRAPEVINEのようなバンドは理想のロールモデルの一つだろう。

 GRAPEVINE自身が対バン相手を決めているということはおそらくないだろうからブッキング自体はきっと周りのスタッフの手によるものと思われる。想像でしかないが、レーベル移籍を期にかなり若いスタッフに入れ替わったのではないか。

 彼なのか彼女なのかわからないが、そうしたスタッフたちの時代感覚と若いアーティストが持つGRAPEVINEの生き方へのリスペクト、そしてGRAPEVINEの「流されている」ことを良しとし、提案をなんでも受け入れる姿勢がこうした共演の顛末だったりすると面白い。

 筆者は、こうした若い世代との共演がもたらした刺激で、彼らがもつ実験的精神が喚起されつづけていることが、彼らがバンドとして生き続け、アップデートを繰り返していける遠因なのではないかと考えるのである。

 

 仮にそうだとすると、まるで若い女の生き血を吸って長命を保つ吸血鬼のようだが、ファンとしてはこれからも長く彼らのアップデートし続ける音楽を聴き続けられるわけであるから、一向にそれで構わないのである。

*1:ファンには(時にはメンバー自身にも)「亀井曲」などと称される。

MASS OF THE FERMENTING DREGS「No New World」レビュー、というより雑感

マスドレことMASS OF THE FERMENTING DREGSの8年ぶり(!)の新作、「No New World」を聴いた。
 
今週発売だが前々から期待してステンバーイしていたわけではない。まったく偶然にも残業の合間、休憩中に眺めたタイムラインに、「新作本日リリース」というなつこん(ベースボーカル宮本奈津子氏)のツイートが流れ、そして手元にはApple Music、そして職場のフリーWi-fi環境と、諸条件が揃いダウンロード。本当に世の中は便利になった、これならダイレクトマーケティングの餌食になってもいい。
 

 

 
マスドレとは大学生のときに出会った。デイヴ・フリットマンのプロデュース作品に目がなかった当時、「I F A SURFER」のギラギラした音像に引き付けられて何度もライブハウスに足を運んだ。神戸のヘラバラウンジ。十三ファンダンゴ。今は名前の変わった鰻谷sunsui。命を削ってるみたいな歌声に惹きつけられていたのを思い出す。1stアルバムは相当聴きこんでいたんじゃないか。当時は軽音楽部に所属していたので、コピーバンドを組んだりもした。無理して女声コーラスを歌ったりもした。
ギターが脱退したころから少し距離が離れ、社会人になったぐらいのころに彼女らは活動を休止し、だんだん音楽の趣味も変わっていって聴くこともなくなってしまった。ツイッターで宮本氏がソロ活動をしていることもなんとなく聞いていたが一度もライブに行くことはなかった。再結成の報もなんとなくニュースでは聞いていたもののyoutubeでバンド名を叩くには至らなかった。
それでも偶然の巡り合いだと聴こうとする気になるのだから不思議だ。自分は直観にまかせてサイコロを振るきらいがある。そして音楽に巡り合った文脈こそが音楽の効能を増幅するとも考えている。なんとなく運命じみたものを感じた時に数クリックで手元に届くのだから、本当に世の中は便利になった(2回目)。
 
前置きが長くなった。1曲目「New Order」の歌いだしに感じたのは「あれ、こんな声だったっけ」という違和感。聴きこんでいた1st、2ndアルバムのころからくらべるとずいぶん柔らかい節回しだ。おそらくキーもちょっと低いんじゃないだろうか。ギターの音も幾分丸まって優しくなっているように感じる。でも曲間に挟まれる裏声のコーラスとかを聴くと、ああ、マスドレの曲だと改めて感じる。2曲目に至ってもその印象は変わらないが、なんというか、ところどころの歌い方にふつふつと、昔はなかった「強靭さ」のようなものを感じてくる。昔の命を削っているような歌声じゃなく、何か確信とか信頼とか、大げさに言えば生きることへの肯定のようなエネルギーをもった歌声。
 
その印象を一番強く感じたのが、7曲目の「Sugar」。自分にとってこのアルバムのハイライトでもある。ミドルテンポのバラード。マスドレにあまりバラードのイメージはないが(「skabetty」など素敵な曲はある)、この曲がなんだかとても刺さるのである。
 
理由について歌詞からアプローチしてみる。曲の後半にかけて「甘いだけのSugar 毒されてくSugar 君のせいだなんて 言わないでよSugar」というフレーズが何度も繰り返される。先述のマスドレのバラード「skabetty」のとの共通点はモチーフが「(恐らくは離れゆく)君」であることだと思うが、「skabetty」の歌詞が「通りの上 飛び出せば」「時の上 飛び乗れば」など遠景的・抽象的表現を用いているのに対して、「Sugar」はいかにも手に届く、半径5メートルに収まるような歌詞になっている。
 
この歌詞に宮本氏がどんなイメージを込めているのかはわからないが、自分はこの接近に対して「前向きなあきらめ」のようなものを感じている。抽象的、遠景的な表現というのは、結論を出さないということでもある。「Sugar」は、手で触って確認できるほど接近した結果として、聞き手である自分に結論を求めているような感覚をもたらす。「(離れ行く)君」というモチーフに対して、結論を求めるということは少し残酷なようにも思うが、ここで先に述べた、「生きることへの肯定のようなエネルギーを持った歌声」というのが効いてくる。悲劇的な結論を想起しても、歌声がそれを肯定してくれるのだ。あの頃よりもすこし大人になった自分たちはいろいろな可能性を捨ててきた。それでもそれなりにやってきた。だからこの結論は悲劇的なようで、悲劇的じゃない、みたいな。
それは8年という長い充電時間で宮本氏が培ってきたものなのかもしれないし、まったく単なる、自分の思い過ごしかもしれない。
 
まあ要するにいたく自分には刺さったということです。
8曲入りのミニアルバムという非常に聴きやすいフォーマットなので、みなさんも是非聴いてみてください。
ライブにも行かなくてはね。ヘラバラウンジは少し遠くなってしまったけれど。

ロシアW杯GroupC デンマークvsフランス 戦評

やっぱり土日以外は(土日すら)ブログ更新するの無理ゲーすぎるぜ。。
THE 三日坊主ですみません。とはいえ、今週から23時キックオフなので、夜はあんまり遅くならずに済みそう(3時ははなからあきらめてる)。
ボーナスでラップトップ買ったので、できる限りアウトプットしていきたい。
 
さて。
引き分け以上で1位突破が決まるフランス。かたや引き分け以上で突破が決まるデンマーク
 
なんでこんな塩っぽくなる試合の戦評を書こうと思ったんだろう。まあ、フランスが優勝候補そのいちだと思ってるからちゃんと見ておこうってだけなんですが。
 
・ハイライトはこちら。
・スタッツ。
 
・システム
 
フランスは4231。前節とはメンバーを大きく変えてきたがフォーメーションはそのまま。
 
         マンダンダ
  シディベ ヴァラン キンペンベ リュカ
        カンテ エンゾンジ
   デンベレ  グリーズマン  ルマル
           ジルー
↓攻撃方向
 
一方のデンマークは4141。攻撃時は433のような形。
 
↑攻撃方向
         コーネリアス
   シスト デラニー エリクセン ブライズワイト
         クリステンセン
  ラーセン イェルゲンセン ケアー ダルスゴーア
         シュマイケル
 
・メモ
 
前半
 
フランス 攻撃時はSBを高く上げて2341のような形 サイドハーフがかなり中に入る
ボランチはあまり前に出ない CBとボランチ4枚でビルドアップ
フランスのゴールキックサイドバックにつなぐ形が多い
グリーズマンはボールに近寄る ビルドアップを助けるなど自由に動く ルマルとグリーズマンはかなり自由にポジション変更
プレースキッカーはルマル 右コーナーはデンベレ
 
デンマーク ロングボールメイン ゴールキックは蹴っ飛ばす
あまりボールを持たず早い段階で蹴ってくる
攻撃時433 CBSBアンカーでビルドアップ
相手SBの裏狙いは得点の気配もありそう 両サイドハーフが速い
守備時は4141 時にはアンカーまで最終ラインに入るので541のように見える場合も
 
38分 デンマーク 守備時両SHはサイドバックについて6バックのようになる場面も
41分 フランス SBが高い位置を取った裏をデンベレが突いてチャンスメイク
42分 フランス デンマークが蹴って間延びしているところをセカンドボール拾って攻撃
43分 フランス グリーズマンが裏に走ってチャンスメイク グリーズマンがかなり自由に動くのでマークが混乱
45分 フランス エンゾンジが上がってチャンスメイク
47分 フランス グリーズマンがCKのクリアを拾って一気にカウンター たまらず倒したヨルゲンセンにイエロー
 
前半短評
 
フランスは引き分け以上で1位突破、デンマークも引き分けでグループステージ突破 というところから、キックオフからの入りはかなり慎重だった両チーム。フランスはCB・ボランチが四角形を形成しデンマークのワントップを囲む形でビルドアップ。ボランチはほとんど前に出ずサイドハーフがかなり中に絞ってデンマークのSBを引き付け空いた大外のレーンにSBが入り込み、アイソレーションからチャンスを作るというよく見る形。シディベよりもリュカのほうが使われるシーンは多かった。カンテ・エンゾンジで中央のカウンタールートはがっちり締まっていた一方、SBの裏にはかなりスペースがあったため、デンマークはポジトラ時に1トップのコーネリアス(でかい)にアバウトなボールを蹴ってセカンドボールを拾うか、直接スペースの裏に出してサイドハーフを走らせるかで、それなりにチャンスメイクはできていた。
デンマークは守備時4141、9人でかなり密集したブロックを作っていたため、真ん中に寄ってきたフランスのサイドハーフが前を向けるシーンはほとんどなかった。かといって、大外で浮いたリュカが1対1で違いを見せられるシーンも多くなく、フランスは常にボールを保持していたが点を取れる匂いはあまりしなかった。さすがに業を煮やしたのか、後半最後の5分はボランチも前線に上がる。結果、ボランチへのアプローチに人を割いたのでグリーズマンへのマークがあいまいになったこともあり、フランスのチャンスシーンは増えた。
 
後半
 
1分 フランス 2CB・2ボラでビルドアップする形は変わらず
2分 フランス アーリー気味で蹴ってきた
4分 フランス リュカ⇒メンディ
8分 デンマーク エリクセンの無回転気味のFK
9分 デンマーク シストは上手にボールキープする
10分 フランス リュカ⇒メンディになっても左SBが高くなるのは変わらない
13分 デンマーク ボール奪取からシストがハーフスペースに走ってチャンスメイク エリクセンにボールが渡るも決められず
14分 フランス エリクセンをだれが見るのかはややあいまい
18分 フランス ルマルは巻いてサイドバックにパスしようとしたが回転がかからず
19分 デンマーク ボール奪取後はエリクセンへ。デラニーが最終ラインまで落ちてロングボール砲台に
21分 デンマーク 簡単に蹴りだす。ポゼッションは求めない
23分 フランス デンマークのSBがやや上がった裏をメンディが突くもクロスは流れる
23分 フランス グリーズマン⇒フェキル
25分 フランス フェキルがハーフスペースに飛び込んでシュート
27分 デンマーク カウンターに人数をかけるようになる オーストラリアがペルーに2点のビハインドなのでリスクを取って1位通過を狙うか
29分 デンマーク コーネリアス⇒ドルベリ
31分 デンマーク フランスが持たせてくれる ジルー・フェキルは追わないので2CB、アンカーへのプレッシャーがなくなり、縦パスのコースが空き始める
32分 デンマーク ワンタッチフリックなどで崩すもシュートまでは進めず
33分 フランス デンベレ⇒ムバッペ
36分 フランス ムバッペのハーフスペースへのペネトレイトからフェキルのシュート
38分 フランス アタッキングサードでのボール保持が増える ムバッペ、ナイスキープ
40分 フランス フェキルの運ぶドリブル
43分 フランス ポゼッション 引き分けのままでもよく、あわよくば1点的なスタンスか
44分 デンマーク ロングボールに競らなくなる
45分 フランス ムバッペの強引な突破からチャンスメイク
45+1分 デンマーク デラニー⇒レラガー
45+3分 スコアレスドローで試合終了
 
総評
 
後半でも両チームのゲームプランは大きく変わらず。裏の試合でペルーが2点にリードを広げたため、デンマークとしては負けてもグループ突破の可能性が高いことが分かったのか後半20分ごろからサイドバックを高く上げ勝利でのグループ1位抜けを狙うようになる。特に、コーネリアスからドルベリへの交代後は地上戦でフランスを翻弄するシーンも見られたが、ムバッペの投入後はフランスがさらにポゼッションを高めてゲームを殺しにかかったため、結果はスコアレスドローに。正直、前半である程度展開が見えたような試合だったので取り立てて書くこともなくなってしまった。
 
フランスを見ていて、こういう相手ががっつりブロックを固めてくる試合におけるサイドバックの役割ってすげー大事だなぁと感じた。ドイツ・ブラジルとかと比較すると、サイドバックの選択肢の多さがそのままボール保持時の攻撃パターンの多彩さにつながっているような気がする。ショート/ロングカウンターの破壊力はおそらく出場全チームでも筆頭クラスだと思うが、持たせられたときどうしたらええねん、って感じ。相手が勝たなければならないシチュエーションなら、第2戦のようにサイドハーフマテュイディを起用して「相手に持たせる」という選択もありだとは思うが、決勝トーナメント、PK上等な相手に対してはどうだろうか。とはいえ、ラウンド16ではアルゼンチンかナイジェリアが濃厚なので、とりあえずは心配しなくていいのかもしれない。

ロシアW杯GroupF ドイツvsメキシコ 戦評

前回のW杯とはかなりメンバーも変わっているが注目したいのは新フォワードのヴェルナー。
メキシコはエールディビジで大活躍のロサノがどこまで違いを見せられるか。
 
ダイジェスト。

www.youtube.com

 スタッツ。
  • システム
メキシコは4231。トップ下のベラが割と自由に動く。
 守備時もシステムは変わっていないがブロックを敷くというよりは2列目から下はマンマーク
ドイツは守備時442で攻撃時はSBがかなり高い位置をとって325とか235みたいな感じ。
 
  • 時間帯別メモ
1分 ドイツは守備時442のセット。ハイプレスいかない
1分 メキシコ 調子のいいロサノがいきなりチャンス。オフサイドなりかけだったがキミヒが背中とられてはがされる
2分 メキシコ セットプレーにやはり得点の匂い
3分 ドイツ ヴェルナーがミュラーからパスを受けてラインの裏に抜けてシュートまでいくも枠外
4分 ドイツ ヴェルナーは右サイドによく流れている
5分 ドイツ クロースが最終ラインまで落ちてビルドアップに参加
6分 ドイツ ミュラーが裏抜け。ヴェルナーとミュラーは流動的にポジションを変えている ゼロトップのようにも見える
7分 ここまでお互いに点が入りそうな予感がすごい
10分 メキシコ バイタルに数人はいってシュートまでいく ロサノの突破を嫌ったのかアタックに行かなかった
12分 ドイツ ボアテングはわりと早い段階で蹴る そして右サイドに開いている
13分 ドイツ やはり44ブロック 相当ボールサイドに密集してる メキシコは1タッチでバイタルを攻略
14分 メキシコ セットプレーでシュートまでいく ドイツの守備はゾーンっぽい
15分 ドイツ キミヒが右に上手く飛び出してクロスまでいく
18分 メキシコ チチャがCBSB間を抜けてシュートチャンスも蹴れず
20分 メキシコはマンマークのような形。ミュラーとヴェルナーが受け渡しを逆手にとって入れ替わってスペース作って抜け出す
22分 ドイツ ロサノはキミヒについていかないので大外にパスコースができる クロス蹴ってくださいと言わんばかり
24分 メキシコ ドイツFK時にカウンター要員3人残してる
28分 メキシコ ボール保持時は433のイメージ ドイツがハイプレスにこないのでわりと余裕を持てる
29分 メキシコ 1列目は全然追わない 突破させることは織り込み済みの感
30分 ドイツ 1列目が追わないのを見てボアテングが持ち上がってロングボールを逆ハーフスペースに
34分 メキシコ 1対1に勝ちに行くという気迫を感じる
35分 メキシコ 自陣で奪ってのカウンターから左サイドに駆け上がってきたロサノがうまく切り返してDFはがしてメキシコ先制!!ちょうどキミヒがオーバーラップしようとした瞬間に奪われたのでメキシコの右サイドに広大なスペースが。
39分 ドイツ クロースの素晴らしいFKもオチョアがナイスセーブ
40分 メキシコ CBが遅延行為でイエロー はえーよ
41分 ドイツ ボアテングからミュラーに良いボールが入るが触れず メキシコは常にボアテングを自由にしている
42分 メキシコ 同点に追い付いてからロサノはキミヒを見るようになった
43分 ドイツ 回せるが縦にボールが入らない
45分 前半終了
 
前半短評
 
いやー潔い!メキシコ!
おそらく世界1、2を争うレベルでビルドアップがうまいであろうドイツ相手にメキシコが取ったのは「ビルドアップは放置する」という選択肢ボアテングが2列目まで入ってこようがキミヒが高い位置をとってこようがおかまいなし。3列目以降に敷いたマンマークのどこかでデュエル勝ちできればOK!なスタンス。死なば諸共。
ドイツはメキシコのマンマークに対してゼロトップに近い形でヴェルナー・ミュラーエジルが流動的に動くことでボールを引き出し、実際チャンスも作っていたがややピッチに慣れていないのかパスミスが奪われてカウンター、のシーンが目立った。流動的に動くということは、ネガティブトランジション時にポジションが崩れているということでもある。メキシコはキミヒをフリーにしておくことで危険なパスコースを明け渡していたが、ボールを奪いさえすればキミヒの裏にある広大なスペースを攻略し放題になっていた。
先制したことでメキシコは守備的なゲームプランを選ぶだろうが、ドイツが黙ってやられっぱなしになっているとは思えないので、2点目をどこかで取りに行けるかどうか。
 
後半
 
1分 ドイツ ボアテングはやはり高い位置 しかしパスミス。ここも芝の影響がでているか
2分 ドイツ 両SBはどちらも高い位置を取る クロースが最終ラインまで落ちる
2分 メキシコ 守備時は右サイドハーフが下がって半分5バックみたいな形 7番はプラッテンハルトについていく
3分 ドイツ プラッテンハルトが上がっても使われないっぽいのが悲しい
4分 ドイツ キミヒに高い位置を取らせて右サイドからチャンスを作るのは変わらず
5分 メキシコ ロサノは1対1になるとなんかやってくれそう感がある
7分 メキシコ 引き続きマンマーク気味なのは変わらず
8分 ドイツ 早い段階でクロスを上げることが多くなる メキシコのカウンターを警戒しているか
9分 ドイツ メキシコのビルドアップのミスからショートカウンターでヴェルナーもゴールならず
10分 ドイツ エジルがバイタルで受けてドラクスラーに流すがシュートは枠外 ややシュートのタイミングで焦ったか
11分 メキシコ カウンターで同レーンor隣接レーンに2人まとめて走る形がこの試合で数回ある 2CBでカバーしきれないスペースを
13分 メキシコ ベラ⇒アルバレス
14分 メキシコ アルバレスがアンカーのような形で451か4141のようなセット 守備的にいくにはやや早い時間帯だがどうか
15分 ドイツ ケディラ⇒ロイス
16分 ドイツ エジルボランチの位置まで落ちてロイストップ下の4231みたいな
17分 メキシコ 451にしたせいでカウンターの怖さは薄れる
21分 メキシコ ロサノ⇒ヒメネス
22分 メキシコ ヒメネスはそのまま左に入る。押し込まれてカウンター時に蹴り込める場所にするため?
22分 ドイツ 中央をマンマークのはがし方のお手本みたいなパス交換で突破もオチョアがセーブ
25分 メキシコ チチャのすばらしいポストプレーから抜け出してカウンター。コケずに蹴れればってシーンだけどノイアーのプレッシャーってすごいんだろうなぁ
28分 メキシコ グアルダードマルケス さらに守備にウエイト
29分 ドイツ ボアテングからの縦パスを下りてきて受けるシーンが増えてきた
31分 メキシコ 5バックに変更するも、薄くなったバイタルに出てきたクロースがミドル 危機一髪
32分 ドイツ ずっとドイツのターン 5レーンにパスコースがあるので無限にパス出せる
33分 メキシコ 7番が抜け出してカウンターも枠外
34分 ドイツ 両SBが最前線で開いて右クロスで視野リセットからの左クロス
35分 ドイツ プラッテンハルト⇒マリオゴメス クロス大作戦いくぞ~~~
36分 メキシコ カウンターの大チャンスはスルーパスが通らず ドイツの前線の戻りが遅くなってきた
37分 メキシコ 再びカウンターから7番ラジュンのシュートは枠外 戻ってきてないからもう1手あってもよかった
38分 メキシコ マルケスがコントロールミスするもうまく倒されてファール ミュラーイエロー 流石レジェンドや
39分 メキシコ 前線の戻り遅いと見せかけて2度追いでボアテングからボール奪う
39分 ドイツ メキシコのパスミスから大チャンスもヴェルナー。。オフ気味なのが2回ぐらい見逃されてる
40分 ドイツ ヴェルナー⇒ブラント
42分 メキシコ ドイツも戻り遅いので1度カウンターに入ると結構時間使える
43分 ドイツ クロス大作戦がマリオゴメスに入るもしっかりヒットせず
44分 ドイツ 代わって入ったブラントが突破⇒こぼれ球にミドルでいきなりチャンスメイク ミドルはバーに当たる
45分 メキシコ 遅延行為で2枚目のイエロー
45分 メキシコ オチョアのキャッチングはほんと安定してるな
45+1分 メキシコ 全員守備 マルケスが走れるから俺も走れる感すごい
45+3分 試合終了 メキシコ守り切った!
 
  • 総評
メキシコの潔さに感動した90分。前半はドイツのビルドアップに対するケアをほぼ放棄してカウンターで絶対点を取るという強い気持ちで実際先制点を奪取。1点のリードを得てからはリスキーなカウンターをやめ、サンドバッグになるのも辞さない撤退戦術でクリーンシート。チーム全員から自分を犠牲にしてゲームプランを遂行するんだという強い意志を感じた。日本代表はメキシコをロールモデルにすべき!というよく聞く言説にも頷きたくなる。目立ったのはやはりチチャリート。体格は小さく、かつ世界トップクラスのCB二人を背負っているにもかかわらず前後半通してポストプレーの選択で常に正解を選び続けていたのがすごい。逆にシュートシーンではあまり良い選択肢を持ててなかったように思うけど。
一方のドイツ、後半はメキシコがSBの上がりに合わせてサイドハーフを下げるようになったからか、ボランチがわりと高い位置で自由にボールを持てたこともありチャンスを量産していたもののシュート精度がいまひとつ上がってこなかった感じ。ただ崩しのアイデアは同じように攻防がはっきりしたアルゼンチンvsアイルランドと違ってとにかく多彩だったのが印象深い。まだ決まらんかまだ決まらんかという感じだったが結局決まらなかった。やはり、FWの高さが足りないという部分がネックだったのかもしれない。メキシコがあれだけのロングパス精度を持つボアテングに自由を与えていたのは、おそらくヴェルナーとミュラーなら蹴り込まれても対応しきれる自信があったからではないか。マリオゴメスが出てきたあとは、メキシコは2人で見ていたのでよりチャンスも作れていたように感じる。
さて、メキシコのゲームプランは見事だった。なんとなく、ラウンド16の格上(ブラジル)を想定して、そこをなんとしても超えようという執念のようなものを感じた。ただ、今後当たることになるスウェーデンと韓国に対しては全く別のプランで臨まなければいけないだろうから、それがしっかり練られているかどうか。一方のドイツは、残りの2試合でも同じゲームプランで対応を相手に強いることができるだろうし、なんなら2チームともカウンターの牙はメキシコほど鋭くないだろうから、しっかり切り替えれば問題なくGS突破できるのではないか。ただし、2位抜けだとラウンド16は高確率でブラジル。想定外のスケジュールだろうから、ピーキングに苦労しそう。
 
楽しい。。でも、明日(てか今日)仕事なんですけど。
ブラジル戦はブラジルが勝ったらハイライトだけ見ます。Eグループは捨てる!